国際学会報告(2014年5月)

国際学会報告(2014年5月)
AAOHN(American Association of Occupational Health Nurses):
2nd Global Summit & 2014 NATIONAL CONFERENCE(Dallas, USA)
(アメリカ産業看護協会第2回グルーバルサミット・2014年学術集会)

アメリカ合衆国テキサス州,ダラス,シェラトンダラスホテルにて,2014年 5月4日〜5月8日に開催されました。

会場のホテルの窓からみたダラス市街
※会場のホテル窓から見たダラス市街

AAOHN第2回グルーバルサミットは,アメリカの産業看護協会(AAOHN)主催による国際会議で,学会に先駆けて行われました(5月4,5日)。

世界10か国以上の国から約90名の産業保健看護専門職が参加しました。AAOHNは,産業看護職のための教育,研究,公共政策と実践資源の提供によって,国内外の労働者の健康,安全,生産性向上に取り組む専門職団体で,今回のサミットのテーマは「国境を越えた産業看護:健康のグローバル文化を育てる」でした。

サミットのテーマに基づき,各国の参加者と研究や実践の知識を共有し,国内および国際的な産業看護について交流を行いました。各国から産業保健や産業看護に関する実践や研究等について報告され,演題ごとに意見交換が行われました。

5月サミット会場_1200
※サミットの様子

グルーバルサミットに参加して

世界各国から産業看護の専門職が集まり,産業看護実践や教育,研究に関する経験を共有する機会でした。日本においては,産業看護職の法的位置づけが明確にされておらず,産業保健看護の専門的なカリキュラムも十分整備されているとはいえない状況です。今回のグルーバルサミットでは,各国の教育内容を学習する機会としても有意義でした。また,労働者の健康課題が世界共通の部分が多く,グルーバルな視点で各国の研究成果や実践の知恵を生かして取り組む意義を感じることができました。

アメリカのダラスは、ケネディ大統領暗殺の地として有名で、行く前は多少の不安を感じていました。でも、明るい日差しと町並みの美しさ、親しさを感じる市民の皆さんに接して、先入観が一変しました。楽しく,充実した日々を送ることができました。

5月公園_1200
※ダラス市内の公演風景

1日目の主な内容についてご紹介します。

  • 様々な職業領域における労働者の健康と幸福(well-being)に影響を与えるための世界的な傾向と産業保健師はいかにwell-beingに積極的な影響を与えるか問題提起がされました。
  • 英国におけるエビデンスに基づいた産業保健サービスモデルのレビューが報告されました。英国においても職場の健康は公衆衛生の課題であること,産業保健師の教育,産業看護のエビデンス(メンタルヘルス,病欠,喫煙,肥満,運動,環境デザイン,高齢労働者等の課題)の紹介されました。
  • 産業保健看護の進歩を推進するめためのアジア各国間の協力をテーマに,フィリピン,タイ,日本から報告がありました。フィリピンからは産業保健師に義務付けられた研修の具体的内容,タイからは産業保健の状況,実践内容,産業保健師の教育が報告されました。日本からは日本産業看護学会の副理事長の西田和子先生より日本の産業看護職の歴史,発展,現状について報告されました。
  • グローバルヘルスの目的,領域,主要な要素として敷地内禁煙,ストレスマネジメンと研修,健康フェアのための方法で成功した結果が説明されました。また,仕事ストレスの問題に焦点をあて,回復力や回復力を高めるプログラムの基本として,回復力とは何か,オランダにおけるプログラムの実際について紹介されました。

その他に,ハンガリーの職場の健康状況や産業看護実践の過去と現在の状況の説明と今後のハンガリーの産業看護システムの発展に対する示唆を得るための報告,世界中の弱い立場にある労働者(貧困,差別,偏見,権利の剥奪,妊婦,子どもなど)の健康と安全戦略,グルーバルヘルスと貧困に対する革新的な解決方法等について報告と意見交換が行われました。

2日目の主な内容についてご紹介します。

  • 最初に産業保健看護に関する科学委員会(SCOHN:the Scientific Committee on Occupation- al Health Nursing)による過去40年間の研究の業績や役割・カリキュラムの変化について報告がありました。
  • その後に,産業看護の今後の教育,産業看護職や産業医,産業衛生技師などの産業保健専門職の今後について話し合われました。ICHOのブラジル大会,南アフリカ大会,ICOHNの日本大会の様子なども紹介されました。
  • 他国における産業看護職の様々な役割ということで,アメリカと日本の事例が紹介されました。日本アイビーエム株式会社(IBM)の田上保健師さん(ナーシング・プログラム・アドミニストレーション)が,80%を占める精神疾患の職場復帰に焦点を当てた取り組みを紹介しました。

その他に,南アフリカの産業看護の実践について,タンザニアの病院の針刺し事故のリスクを軽減するための取り組みの成果,長寿と幸福のための最も良い戦略に関することなど,グルーバルな視点で報告されました。

AAOHN 2014 NATIONAL CONFERENCE

5月4日からAAOHNプレカンファレンスのワークショップが始まり、5月5日から本会議が始まりました。西田先生が引き続き参加されましたが、私は残念ながら仕事の関係で一足早く帰国しました。

本学会については、西田先生とご同行された久留米大学の佐藤祐佳先生が参加報告をされています。ご参照いただければと思います(国際学会レポート,産業看護6(4),p36-37,2014)。

次回のAAOHN 2015 NATIONAL CONFERENCEは、2015年3月、ボストン(USA)で開催される予定です。(国内外連携委員:河原田まり子)