国際学会報告(2014年9月)

国際学会報告(2014年9月)
The 21th Asian Conference on Occupational Health (ACHO)&
The 24th Japan-China-Korea Joint Conference on Occupational Health (Fukuoka, Japan)
(第21回アジア産業保健学術集会・第24回日本・中国・韓国合同学術集会)

福岡県,ヒルトン福岡シーホークホテルにて,2014年 9月2日〜9月4日に開催されました。

Asian Conference on Occupational Health (ACHO)は、アジア産業保健協会(The Asian Association for Occupational Health)が定期開催する国際会議で、今回の第21回目は福岡で開催されました(9月2,3日)。

本アジア産業保健学会は、産業保健の向上を目指して、2〜3年毎にアジア各国で開催されています。テーマは「産業保健、基礎研究、臨床医学の掛け橋」でした。 今回、Japan-China-Korea Joint Conference on Occupational Healthと併催されました(9月4日)。

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主なプログラム内容

ACHOは、2日間の日程で、開幕の特別講演を皮切りに、3つの基調講演、5つの教育講演、7つのシンポジウム、ポスターセッションと充実した内容で構成されていました。 私は1日目は仕事の都合で参加できず,2日目から参加しました。2日目に参加したプログラムの主な内容をご紹介します。

  • 労働による健康障害として、有害物質アスベストの問題に関する基調講演とランチョンセミナーが企画されました。アスベストによる職業病である悪性胸膜中皮腫の疫学的視点、病態のメカニズムや治療に関する知見が報告されました。
  • 産業保健サービスの法制度や政策について、韓国、台湾、日本の3国の現状が報告されました。1次産業の減少と3次産業の増加による産業保健分野の健康課題に変化に伴い、法制度の改正整備が行われており、3か国共通の傾向があることが理解できました。
  • 産業看護職の継続教育についてシンポジウムが開催されました。西田和子副理事長と掛本知里先生で座長をご担当されました。台湾、タイ、韓国、日本の4名のシンポジストの報告がありました。台湾では従業員300名ごとに産業保健看護職を1名配置することが法律によって規定されており、日本より法的基盤が整備されているように思いました。タイにおける産業看護職の教育は大学卒業後の教育として60時間と4カ月の教育プロプログラムと2年間の修士プログラムがあり、タイ看護協議会によりそのプログラムが保証されています。韓国では、ヘルスマネージャーとしての看護職は、職務能力教育を受けるシステムがあります。また、卒後教育として高度実践産業看護師資格のためのトレーニングがあり、産業看護職の自律性と役割の拡大が期待されていました。日本からは東京工科大学の五十嵐千代先生から日本の状況がご報告されました。

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※ポスターセッション

中韓産業保健学術集会について

中韓産業保健学術集会についてご紹介します。2つのシンポジウムが行われました。

○1つ目は、「産業保健ハイジニスト(技師)の教育」に関するシンポジウムで、韓国、日本、中国の紹介がありました。 韓国では、産業ハイジニスト(IH)が産業保健スタッフとして明確に位置づけられ、教育体制も整えられています。産業保健の問題が事故の問題からメンタルヘルス等の問題と広がっている現在、テクノロジーのみでなく教育内容も幅広くなってきていることが報告されました。産業医、産業ハイジニスト、産業看護職がそれぞれ重要なスタッフとして位置づいてきており、韓国における産業看護職の役割が期待されていることが伺えました。 日本では、ハイジニストと定義されている職種はなく、衛生管理者や環境測定士のような役割の職種として位置づいていることが紹介されました。 中国は、1次産業における鉱山の死亡が多い実態が紹介され、法的規制も不十分な現状が紹介されました。

○2つ目は、「職業癌」に関するシンポジウムでした。中国の発表予定者が欠席し、韓国と日本の現状が報告されました。日本では、印刷従事者の胆管癌の問題が近年明らかになり産業保健の大きな問題となりましたが、その内容が詳細に報告されました。

<全体を通して>

アジア各国から産業医や産業看護職の専門職が集まり、産業保健に関する問題を共有する機会となりました。産業看護については、韓国やタイなどアジア近隣の産業看護職の継続教育の内容や産業看護職の役割を学習する機会として有意義でした。

また、労働者の健康課題について共通の傾向があることを知り、近隣各国と協働して労働者の健康を守る研究や実践を取り組む意義を感じることができ、グルーバルな視点を持つ必要性をあらためて感じました。会場となったヒルトン福岡シーホークホテルの隣には福岡ドームが隣接し、近くには福岡タワーや博物館等もありとても素敵なところでした。知らない地を旅し、土地の文化に触れることもとても勉強になります。

2015年は、おとなり韓国でICHOと日中韓産業保健学術集会が開催されます。韓国の関係者の方が熱く来年度の参加を呼びかけていらっしゃいました。(国内外連携委員:河原田まり子)

9月産業医科大学
※引き続き9月5,6日に開催された日本産業看護学会第三回学術集会:会場の産業医科大学ラマツィーニホール