日本産業看護学会第9回大会

プログラム

大会長講演

多様な健康課題を持つ人の「働く」を支える産業看護
松本 泉美

畿央大学健康科学部 看護医療学科 教授 松本 泉美

産業構造や働く人々の疾病構造が多様化する中、「働く」ことが困難な状況にある人々が増加しており、それが人々のニーズを理解することが産業看護職には求められている。

また上記の人々に対する就労支援や相談事業が法制化される状況の中で、場内の健康管理部門や組織内での連携だけでなく、事業場外資源としての支援機関の役割や活動を理解した支援の連携に基づく看護実践への期待について述べる。

基調講演

女性が美しく生きるための健康科学ー女性のライフステージと医学的対応ー
植田 政嗣

畿央大学 健康科学部長 教授 植田 政嗣

現代社会において健康意識や健康志向が格段に高まっているが、単なる肉体的な健康にとどまらず、健康をQOL(生活の質)に関連付け、よく生きる、美しく生きることを目標に掲げて、物質生活・精神生活・社会生活のトータルにおいて良好な状態を実現することが求められている。本講演では、女性と生殖、女性特有のがん、女性と老化など、女性が充実した人生を送るために必要な健康科学上の諸問題と様々な医学的対応について論じたい。

特別講演Ⅰ

産業保健の実践に役立つ疫学と統計学のポイント
車谷 典男

奈良県立医科大学 名誉教授 車谷 典男

産業保健専門職には、個人に対する健康指導能力に加え、集団を評価する能力が求められる。疫学と統計学はその学問的基盤であるが、前者がデータ収集方法に本質があるのに対し、統計学はデータ解析に力を発揮する。本講演では、産業保健の現場でよく利用する集団データの評価に汎用する疫学と統計学の基礎知識を紹介する。時間のある方には拙著「初・中級者のための読み解く疫学スタンダード」(診断と治療社)をお薦めしたい。

特別講演Ⅱ

産業看護職の連携力を磨く~コンピテンシ―の向上~
河野 啓子

四日市看護医療大学 名誉学長・日本産業看護学会理事長 河野 啓子

本講演では、まず、産業看護職にとって、なぜ連携が重要なのかを確認し、合わせて連携・連携力の意味を明確にする。次に、連携力を磨くためにはどうするか、コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキル、ネゴシエーションスキルなどのスキルを身につけることも必要であるが、ここでは、連携力を左右する最も基本となる産業看護職のコンピテンシーについて触れ、その向上のためにどうするか、考えてみたい。

教育講演Ⅰ

新型タバコ時代の禁煙支援・推進方策
田淵 貴大

大阪国際がんセンター がん対策センター 疫学統計部副部長 田淵 貴大

日本では、加熱式タバコなどの新型タバコがすでに流行してしまった。本稿では、日本における新型タバコ製品使用の実態についてUPDATEしたのち、新型タバコの中でも特に加熱式タバコの健康リスクについて述べ、新型タバコ時代を迎えた日本における禁煙支援の推進方策について議論のキッカケとなる情報提供をしたい。

教育講演Ⅱ

多様性のある職場づくりに必要なLGBT/SOGIへの理解
仲岡しゅん

うるわ総合法律事務所弁護士 仲岡しゅん

職場環境においてLGBTやSOGI(性的指向と性自認)のあり方を尊重することは、近年もはや不可欠のものとなっています。しかしながら、こういった問題については未だ偏見や無理解も少なからずあり、対応が十分とは言い難い職場もあるようです。今回は、LGBT・SOGIについての基本的な理解から、職場で起こりがちな問題への対応まで、演者の実体験を踏まえながら一緒に考えていこうと思います。

COVID-19トピックセミナー

職場の新型コロナウイルス感染症対策の実践 ~産業保健スタッフが知っておきたいポイント~
辻 洋志

南森町CH労働衛生コンサルタント事務所代表 産業医 辻 洋志

各種ガイドラインも参照しながら新型コロナウイルス感染症対策と事業継続を図っているところかと思います。一方、産業看護職の現場ではガイドラインでは想定されていない相談や、対策を求められるケースも多いのが現状です。今回は、新型コロナウイルスに関するエビデンスと新型コロナウイルス感染症対策に特化した労働衛生の3管理、実践すべき対策をあらためて確認し、現場での対応力を高める機会になればと思います。

当事者講演

産業看護師のみなさんへ伝えたいこと
平井 正明

若年性認知症支援団体 まほろば倶楽部代表 平井 正明

認知症は高齢者だけの病気ではありません。65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」といい、働き盛り世代での発症であるため、本人・家族だけでなく企業にとっても大きな問題です。在職中に若年性認知症と診断され退職した経験をもとに、若年性認知症の抱える問題点と、“若年認知症になっても働き続けることができる企業・社会”を目指して、産業看護師の役割について考えていることをお話しします。

日本産業看護学会誌編集委員会企画講座

アクセプト(受理)される論文作成の秘訣ー研究倫理を踏まえた論文作成ー

日本産業看護学会誌編集委員会委員長 松本 泉美

日本産業看護学会誌の投稿規程に基づく論文著者に求められる研究倫理を含む研究者としての姿勢のあり方としての研究不正行為と論文が掲載可となるまでの査読過程において求められる著者対応の秘訣について説明する。

ランチョンセミナー

対話型アート鑑賞

共催:株式会社フクフクプラス

高橋 圭

株式会社フクフクプラス 高橋 圭

フクフクプラスの対話型アート鑑賞法は、障がい者アートの持つメンタル効果(実証実験にて検証済)を活かした独自のプログラムです。今回はオンラインでアートを鑑賞していただきながら、対話を通して「創造的思考力」「観察力」「コミュニケーション力」等を高めます。答えの無いアートを鑑賞しながらのワークになり、職場内での「心理的安全な場」を作る一歩となります。

「在宅勤務」「コロナうつ」免疫力を高めて良質睡眠を得るコツ

共催:プライマリー・アシスト株式会社

今枝 昌子

一般社団法人日本快眠協会 代表理事 今枝 昌子

一般社団法人日本快眠協会では、眠育の啓発活動を積極的に実施しておりますが、このセミナーでは、コロナ禍における「在宅勤務者」の増加に伴い、免疫力低下と睡眠課題によりメンタル不調者が増加しております。この様な環境変化における『企業眠育』のサポートに関して、実践を交えて紹介いたします。

携帯電話の電磁波って危ないの?-WHOの見解を紹介します-

共催:一般財団法人 電気安全環境研究所 電磁界情報センター

大久保 千代次

一般財団法人 電気安全環境研究所 電磁界情報センター 大久保 千代次

新しい通信技術が次々と生まれる中で、近年、携帯電話端末(スマートフォンおよび携帯電話内蔵のタブレット端末含む)は、ますます生活に不可欠なものとなっておりますが、一方でこれらの端末発生する電磁波によって「携帯電話を使用すると脳腫瘍が増えるのでは」といった懸念を抱いている方々もいます。

本日は、WHOの見解を中心に、携帯電話から発生する電磁波の体への影響について最新の知見を紹介いたします。

シンポジウムⅠ メンタルヘルス課題保有者の働き方支援への連携

発達障がいがある人の就労継続支援
近畿大学 教職教育部 准教授 山本 智子
元精神科医である産業医としての支援の役割と連携
独立行政法人地域医療機能推進機構 大和郡山病院健康管理センター医長 葛西 英二
地域障害者職業センターの支援と他機関との連携
奈良障害者職業センター主任障害者職業カウンセラー 芝岡 直美
メンタルヘルス課題保有者への職域での対応と連携について
日本メジフィジックス株式会社 人事部 健康相談室 宗像 かほり

メインシンポジウム 多様な病いを保有する人の「働く」を支える産業看護

奈良難病連での難病ピアサポート ~人材育成とつながりづくり~
特定非営利活動法人奈良難病連(ならなんれん) 事務局長  春本加代子
働く人という視点での臨床における退院・就労に向けた支援 ~もっと早くから関わりがあればちがっていたなぁ~
社会医療法人平成記念会 平成まほろば病院 地域医療連携室 主任 石井 秀和
多様な病を保有する人の「働く」を支える産業看護
産業保健総合支援センタ-保健師としての役割と支援および連携
奈良産業保健総合支援センター 保健師 上坂 聖美
分散型事業所における就労継続支援 〜事業所内看護職の産業看護活動〜
近畿労働金庫総務人事部 健康管理センター 保健師 原  共乃
産業看護職としての役割と支援及び連携 ―疾病による中途障害者への支援と連携―
ワコール健康保険組合 健康開発チーム 保健師 大森 佳子

トークセッション COVID-19 健康危機管理における産業看護職の役割と対応

新型コロナ禍における中小規模事業場産業保健活動の実際 ~開業保健師としての取り組みと工夫~
株式会社ヘルス&ライフサポート ヘルスサポート部門代表取締役 齋藤 明子
コロナ禍での海外勤務者に対する産業保健師の役割と支援
オムロンエキスパートリンク株式会社 全社総務部 健康管理課保健師 堀本  綾
大規模分散型事業場の産業看護職を支援する ―管理職としての役割と対応―
パナソニック健康保険組合 健康管理センター 保健看護部部長 津田 由紀

ナーシングサイエンスカフェ 産業看護職の仕事と魅力を紹介

  • *高校生(参加費は無料ですが抄録集をご購入ください)・看護学生対象(看護学生参加費)
労働衛生機関における産業保健活動の実際
中西 湖雪

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 保健事業部 保健看護管理室 部長 中西 湖雪

当事業部は年間約56万件の健康診断を実施している健診機関ですが、事後措置にも注力しています。産業保健の分野では、産業医と保健師が事業所に往訪し産業保健を展開しています。外部専門機関として大切なことは、信頼関係の構築、事業場の特性の分析、真の健康課題の抽出、優先順位の明確化、課題解決に向けた支援を行うことです。これにより事業者は自律的な産業保健を展開できるようになります。このような取り組み事例をご紹介致します。

企業における産業看護職の業務の実際
川畑 真理

(株)SCREENビジネスエキスパート
 環境サスティナビリティ事業部 健康衛生部 川畑 真理

労働衛生機関と企業で産業看護職として勤務してきた。産業看護職としての経験は長いものの、会社の健康管理体制、医療職以外のスタッフとの連携、そして日々起こる出来事に産業看護職としてどうあるべきか…どういう立場でいるべきなのか、と悩みはつきない。社員や組織の活性化にどう貢献できるのか、これからも悩み迷いながら、自分なりの産業看護職像を追求していけたらと思っている。

産業看護職はもはや職業ではなく生き方
井沢 かおり

中部日本放送株式会社 総務部 井沢 かおり

産業看護職を一言で説明すると「働く人の人生に寄り添う仕事」だと思っております。

産業看護職として20年、従業員の皆さんと、共に悩み、共に笑い、共に泣き、多くの困難を乗り越えてきた歴史を振り返った時、こんなに素晴らしい豊かな人生を送らせて頂いたことに感謝しています。

健康でいきいきと自分らしく輝いて生きることができる、産業看護職の魅力を皆さんと共有できたらうれしいです。

産業保健師に必要なスキルとは
今川 かおる

オムロンエキスパートリンク株式会社 今川 かおる

産業保健師として必要なスキルとは、専門性に加え、変化対応力であると思う。社会や会社組織は絶えず変化をしており、それに合わせ産業保健師に期待されることも常に変化する。

いろいろな人の意見に耳を傾け、過去の常識にとらわれない柔らかアタマが最強の武器になる!

企業外労働衛生機関の実際と魅力
野元 有紀

一般社団法人 京都工場保健会 産業保健推進部 保健指導課 野元 有紀

私は、企業内産業保健師の経験を経て、企業外労働衛生機関に2年勤め、育休明け職場復帰後という状況である。

企業外労働衛生機関に勤め、「このような業務もするのか」という驚きや、「もう少し踏み込めたら」という悩み、「もっとこんなことをしてみたい」という可能性・魅力を感じてきた。

企業外労働衛生機関の業務の実際や魅力について、新米ママの視点で皆さんへメッセージを伝えたい。

産業看護職を選択した経緯と現在
井上 知波

一般財団法人 日本予防医学協会 西日本事業部 健康管理部 巡回健診課 井上 知波

大学4年時の産業保健実習が大きなきっかけとなり、産業看護職を目指すようになりました。今回は、私が産業看護職を選択した経緯や産業保健実習で学んだこと、労働衛生機関としての現在の私の仕事内容、業務において配慮している点について発表します。少しでも産業看護に興味がある方や産業看護職として働いてみたいと考えている方へ是非聞いていただきたいです。

免許センターの保健師として働き感じたことについて
東田 恵里

奈良県警察本部交通部運転免許課高齢運転者支援室 東田 恵里

運転免許課で働く保健師は、病気や身体障害を持ちながら運転したいと考える方に安心して運転していただくためのサポートをしています。また、近年ニュースで度々報道されている高齢ドライバーやその家族からの相談に乗り、今後の免許継続について最善の選択ができるよう関わっていきます。

あまり知られていない職場かと思いますが、保健師が活躍する場のひとつとしてこのような職種があると知っていただければと思います。